オンライン授業を考える

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、今までにない状況下での新学期スタートから早1ヶ月。

2020年5月現在、既に年間の授業計画に大きな不安を持たれている先生や、初めてのオンライン授業に取り組まざるを得ない状況の先生もいらっしゃることでしょう。9月開始の可能性が検討され始めたり、日々刻々と変わる状況や情報に注意を払いつつも、一番は目の前の子ども達の学習の機会をどう確保するかに頭を悩ませていることと思います。児童・生徒たちの状況も不安定で、地域や家庭など環境による学びに対する格差も生まれつつあり、その是正のための問題は山積しています。

オンライン授業

この事態の収束・終息にはまだまだ時間がかかると思われ、全国で以前のような対面授業を実施できるようになることを祈るのはもちろんですが、その一方で「オンライン授業」を真剣に考える必要に迫られています。

中国や韓国、欧米に比べて日本のIT化は遅れていると言われてきました。政府が全国の小中学校の児童生徒1人につき1台PCかタブレットを使える環境を2023年度までに整備するとしていた計画をいくら前倒ししたとしてもすぐに環境が整うとは思えず、現在の環境の中で最大限できることをそれぞれが模索しながら日々を乗り切って行かざるを得ない、というのが現状でしょう。

遠隔授業(オンライン授業)の実施予定について:「出典「文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策に関する大学等の対応状況について」より

こうした状況の中で、文部科学省高等教育局が2020年4月13日に公表した全国の大学・高等専門学校を対象とした調査結果では、8割以上の大学がオンライン授業の実施・検討をしているとされていました。

表参照(出典:「文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策に関する大学等の対応状況について」より)

外出自粛などの措置にも関わらず決して楽観視できない状況が続く中、各所で休校期間の延長をせざるを得ない現在では、この調査時点よりも多くの教育機関がオンライン授業に向けて奔走していることと思われます。

2020年度内は著作物の授業使用が無償で可能

弊社が主に扱っている映像教材は学習者向けのものではなく、授業者向けの指導用映像が大多数を占めているのですが、今年の3月くらいから「映像を授業に使わせてほしい」というお問い合わせを多数受けております。

 

学校や大学などの教育機関が補償金を支払うことで個別に著作者の許諾を得ずに著作物を配信することを可能にする制度が2020年4月末に施行されたばかりですが、2020年度に限っては「無償で」こうした著作物を授業で使用することができることになっています。(もちろん、著作者の権利を侵害しない範囲で、等の制限はあります)

 

実際に中学、高校、大学関係者の方々から「以前に買ったDVDのこの部分を◯◯の授業で使いたい、クラスの生徒限定で配信したい」といったお問い合わせを多数いただいております。

もしお手元にジャパンライムのDVDをお持ちで、その中で生徒に見せたい部分があるなら、どうぞご活用ください

弊社の映像以外でも、あらゆる学習教材、学習関連・情報共有コンテンツが各所で紹介されています。無料のものもたくさんあります。使えるものは使ってください。

オンラインの利用

大学の「英語科教育法」の授業であれば弊社の映像はそのまま使える部分も多いかもしれませんし、学校側・学生側ともにオンライン環境は整いやすいでしょう。

しかし、小中高に比べオンライン授業が取り入れやすいと思われる大学でも、学生側の通信量制限、自宅にプリンタがない、自宅PCは家族がテレワークで使用中、自分が使えるネットワーク接続はスマホとゲーム機のみ…万全とは言えません。教える側だって初めての方が多いでしょうから試行錯誤の繰り返しかもしれません。

たとえ最初からうまくいかなかったとしても、学生たちに空白の時間を多く過ごさせるわけにはいかず、何らかの形で学びの場を提供していかねばなりません。そして、これを機にオンラインの利用は加速するでしょう。オンライン活用が出来ないままでは、アフターコロナにおいて予想以上の大きな差がつくことは想像に難くありません。

 

また、オンラインの授業は対面授業に比べて集中力の持続が難しく、相互のやり取りにも制限があります。特に低学年になればなるほど、画面の向こうの児童生徒は御し難く、これまでと同じ授業を配信するだけでは、彼らの学力定着は厳しいと思われます。短時間での適切なゴール設定、そしてこまめなフィードバックが必要となり、授業の構成や教材の作り方も工夫・改善が必要かもしれません。また、既に授業時間数が危うい学校も多いでしょう。

 

現在、そして今後も、これまで以上に効率よく、興味関心をひきつけ、集中させて授業に取り組ませる必要があります。

 

一方通行にならないオンライン授業のためにも、今後も優れた授業実践例をご紹介していきますので、参考にしてみてください。映像コンテンツ内で行っているのは対面授業だとしても、今の授業に取り入れられる部分がきっとあるはずです。


ICTの活用

ここでは、授業の効率化やオンライン授業において児童生徒を集中させるための一助となる、弊社のICT関連のコンテンツをご紹介します。下記の英語教員向けオンライン研修サービス「JLC OnDemand」の特集ページにて、まとめてご覧いただけます!


英語教員向けオンライン研修 JLC OnDemand 英語教育コース

動画配信サービス JLC OnDemand

 【英語教員向けオンライン研修】

数多くの映像コンテンツを取り揃えている「JLC OnDemand英語教育コース」の中からICT活用についてご紹介しているものをまとめました!

ICT導入の初歩から解説している川島満義先生の「どこから始める?ICT」など、ここでしか見られないコンテンツばかりです!



上記の英語教員向けオンライン研修サービス「JLC OnDemand」でもご紹介しているコンテンツの中から、DVD化されていて特に人気の高いICT活用をテーマにしたコンテンツを下記に2つピックアップ。

動画配信ではなくDVDでの視聴をご希望される方は、こちらを参考にしてみてください。




ライブ!英語教育 ・ 達人セミナー in 名古屋

 【DVD】

ICTを用いた授業の進め方から

ICT機器で使用する教材(素材)づくりのヒント

 

【第1巻】ICTを活用したCommunication English

 授業者:渡部 正実(岐阜県立加茂高等学校)



オンライン授業に役立つサービスもICT機器も、新しく役に立つものがどんどん生まれています。教員自体がAIに凌駕されるなどという説も一時は見受けられました。しかし、どんなに優れたものも活用するのは人間です。こちらでご紹介しているものの中には一見古い機器を使ったものもあるかもしれませんが、その考え方・活用の仕方・生徒への提供の仕方は、ソフトやアプリのバージョンに関係なく参考にできるものばかりです。

 

非常に大変な状況下にいる先生方が多いと思われますが、毎日アップデートされる情報に振り回され過ぎることなく、それを活かすための根底にあるご自身の授業力・指導力を信じて、目の前の児童生徒さんに対して今出来ることを着実に提供していくことが大切です。

弊社も微力ではありますが、そんな先生方のお力になれるような情報提供を続けられればと切に願っています。