阿野幸一先生へのインタビュー


阿野 幸一(あの こういち)

 

文教大学 国際学部 国際理解学科 教授

 


最近の英語教育界の現状についてお聞かせ頂けますか?

 

色々な問題が色々な調査から出ていて、新しい指導要領が出て2020年から新しい方向にいきますが、基本的にいい方向に向かっていると思います。

キーワードがいくつかありまして、まずは以前から言われている「アクティブラーニング」。これまでの英語教育は先生が知識を与えるということが多かったので、それに対して子ども達が主体的に取り組んでいくということですね。それから「CANーDOリスト」。子ども達が英語を使って何が出来るのか、というように、大きな視点が変わっていきます。

 

小学校での英語教育も非常に大きいです。中学になっていきなり英語を勉強し始めるのではなく、その前にたくさんの英語を吸収してきて、それを整理しながら進めていく。助走が長くなったというのも非常に大きなことですね。 

 

あとは大学入試改革がいわゆる四技能入試に向かっています。今までの英語教育は、入試の関係でリーディングなど、ある側面に偏っていました。当然言葉というのは四技能の中にあります。何かを聞いて話したり、それから読んで書いたりという、このような大きな中で私たちは言葉を使っているので、当然「聞く部分」「話す部分」「書く部分」も見ていくことによって英語力全体が上がっていくという方向に向かっているので、いい方向に向かっていると思います。

そのような状況下で、指導者向けの指導法映像についてはどう思われますか?

教え方に悩み、本や雑誌などから知識を吸収する先生方も多いと思いますが、それを具体的に授業の中でどのような形にしたらいいのか、「この先生の授業が見たい」「この先生が本に書いている授業の実際はどうなっているんだろう」と、どこかで見てみたいと思うわけです。

ただ非常に忙しい毎日の中では、極端に言うと隣でやっている授業も見に行けないという現状があります。そんな中で先生方が視覚的に見る、あるいは実際に教室だったらこのようにすれば具体的に形に出来るんだというヒントを得られるという意味で、このような指導法DVDは、なくてはならないものだと思います。

 

教員研修でコアカリキュラムというのが出ていて文科省のほうからやるべきことが示されていますが、この中において授業観察というのが取り上げられています。しかし教員養成においても現場に行って観察というのは本当に頻度が少ないことなので、映像から今後学んでいくのは必要だと思います。もちろん目の前の生徒に対して、すぐにそのまま活かせるという訳にはいかないかもしれませんが、映像を見たことによって「自分の生徒にはこういうふうに変えたら使える」というヒントになるので、どんどん活用していく方向で考えています。 

指導法DVDの活用の仕方や提案があれば教えてください。

DVDを観る時、目的を持つことはすごく大切だと思います。

ご自分の授業に置き換えることで、具体的な形にするためのヒントになるからです。

どうしたら子ども達ができるようになるのか。

どのような指導過程でいくと最終的に目標が達成出来るのか。

  

例えば、授業スキルを上げるために必要なものが「音読」だとすると、通常であればRepeat after meと一回繰り返すだけですが、少し形を変えるだけでも違う効果が出るですとか、子供達にとっても違う活動というふうにも考えられます。

また、授業全体の目標を立ててどのように組み立てるかという際には「CANーDOリスト」をご活用いただければ授業づくりのヒントがあります。

四技能五領域の統合という点でも、例えばリスニング、スピーキングと分けて指導すると考えている先生が多いのでそれを統合して、さらに教科書を使って色々な技能を統合していくとスキルが上がると同時に内容理解も深まっていくと思います。

 

その他にもジャパンライムには色々なDVDがありますので、その中でご自分が課題に思っているところに手を出すことで、そこからヒントを得るように活用して頂けたらと思います。

あとは流れ全体を見て同じ部分を見つけたり、自分と違うとしたら、少し変えてみることでそれに近づくヒントが得られると思います。

目的に合わせて活用して頂けると提供している側としても嬉しく思います。

 

(2018.5)

阿野先生の関連DVDはこちら ▼▼▼

「音読」で 身につく英語力

「CAN-DOリスト」を使った授業づくり

4技能5領域を統合させた教科書の指導



※指導者・協力者等の所属は記事掲載時点のものです。